Liverpool大学

リバプール大学は1881年に創立され、学生総数3万人、巨大な敷地内に多数の学部を備えるイギリスの名門大学で、多数のノーベル賞受賞者を輩出しています。視覚機能関係の学部は赤レンガに囲まれたThompson Yates Buildingの1階(School of health Sciences, A vision of health)にあります。

簡単な挨拶の後、Anna教授から学部の概要説明があり、実習室や眼科機器などを見て周りました。KAY Pictures社の製品など、イギリス製の機器が多いことが印象に残りました。

The New Frisby Davis Distance Stereotest、ミラー式のHess検査機器、大型弱視鏡など。

City University Colour Vision Test(色覚検査)

イギリスの視能訓練士の養成施設は多くはありません。この大学の他、シェフィールド大学(The University of Sheffield)、グラスゴー大学(The University of Glasgow)など数校のみで、視能訓練士の数も多くはありません(イギリス全土で1,000人程度)。また日本と異なり国家試験がなく、養成校を卒業すると資格を与えられます。ただし卒業には論文提出などが必要で難易度は高いようです。日本の視能訓練士の養成校の数や、有資格者は1万人を超えていると伝えると、大変驚いていました。

Liverpool大学は研究機関のため、全ての学部が協力して研究を行っており、今回ちょうど新しい視覚検査機器を開発しているということで理工学部の施設に案内してもらいお話を聞くこともできました。夏休み期間のため学内には数名の学生しかいませんでしたが、皆真面目に研究に取り組んでいる様子が伺えました。

昼食は大学近くにあるメトロポリタン教会(Metropolitan Cathedral)に併設されたカフェでサンドイッチを食べました。教会はとてもモダンで斬新な建物でした。

The Beatles streetと港

Moorfields Eye Hospital

リバプールに数日滞在したのち、列車に乗ってロンドンに向かいムーアフィールド眼科病院(Moorfields Eye Hospital)を訪ねました。ムーアフィールド眼科病院はNHS(National Health Service)の下で運営されるイギリス国内最大級(本部によると世界最大級)の国立眼科医療機関・教育機関で、国際視能訓練士協会の本部があります。NHSはイギリスにおける国民健康サービスで、イギリス在住なら無料で加入、医療費も無料という夢のようなサービスですが受診までに数日要することもあり、その間に病気が治る、また逆に悪化してしまうケースなどもあるようです。

非常に大きな眼科病院で、各検査ごとにフロアとスペースがとられていました。患者の年齢層も様々でした。国立病院ですが、メインホールに民間のカフェテリアや売店があったり、ピアノが置かれてあったり、割と自由な印象を受けました。

最後に

短期間でしたが、他国の視能訓練士の現状、また養成校のカリキュラムなどを肌で感じることができ大変勉強になりました。今後の教育に生かせればと思います。(写真:左からAshli先生、Anna教授、筆者)

視能訓練士

今回は久々の1人旅で、イギリス北部スコットランドから中部へ、そこからロンドン、そしてユーロスターでパリを経て帰国しました。移動は全て列車、各都市においては観光名所などにはほとんど行かずひたすら街を散策していました。経済不況や失業者、テロ事件など様々な問題を抱えるヨーロッパですが、人々の暮らしぶりは精力的・活動的で、皆生き生きしていたのが印象的でした。(写真:EdinburghとParis)